ロックエンゼルの会の発足と現状

 ちせいの里は、岡崎市の宅地造成事業によって誕生した戸数100戸の新興住宅街です。標高120メートルの低い山を切り開く事業で、この山間地域にとっては、画期的な変化をもたらすできごとでした。

 住民は岡崎市内の各地から寄り集まり新居を構えました。いわば、生まれも育ちも違う者同士の「寄り合い所帯」です。こうした中で、町内会の発足以来、町民同士の融和と近隣他町との連帯の強化に身を投じて努力した人がいます。

 それは、故山本康政さんです。彼は、山から湧出する水があまりにも綺麗なことに感激し、蛍流公園の一角に「ホタルの里」をつくり上げる作業の先頭に立って献身しました。同じ思いの町民に呼びかけ、他町の方の協力も得て、とうとう1年足らずで小さな川を作り、河合中学校の指導を得ながら、ゲンジボタルの飛翔にこぎつけてしまいました。

 平成14年6月6日、町民仲間と共にホタルの初飛翔を歓喜の中で迎えることができました。しかし残念・無念、日夜を問わない活躍の中で彼は不治の病におそわれ、53歳の若さで翌平成15年2月19日に亡くなられてしまいました。

 残された有志は丸山健さん(ロックエンゼルの会監事)を中心に、今日までホタルのともし火を継続してきました。そして、この地で舞うゲンジボタルを「ヤマモトボタル」と呼んで、ホタルの住む環境を守ってきました。

 一方、毎分数リットルの湧出を続ける石清水を維持・管理してきたのはロックエンゼルの会でした。1年に1回、冬季にはこの石清水を酒蔵に持ち込み、ちせいの里オリジナルの酒「天使の舞」を醸しています。今日では、すっかり定着し、700本を越す頒布数に達しています。

 「蛍流の森」整備・保全事業の開始を契機に、会は会則など運営面での改革を加え、町内高齢者組織「清流の会」との密接な連携を深め活動を進めています。

 更に今日では会員に高校生の参加もあり、老・壮・青・少各層の有志によって発展を続けています。町内外各位の温かなご指導ご助言を心からお願いいたします。

 尚、発足以来、本会に適切なご助言を頂いている愛知県・岡崎市の関係部局の方々にお礼を申し上げると共に今後も変わらぬご指導を頂けますようお願いいたします。(平成25年2月)